心理カウンセラーだって落ち込んだり悩んだりすることがある
特に仕事のことで悩んでいるクライアントさんの方とカウンセリングしていると、「人の悩みを解決できるなんで、自分のことも解決できていいですね!」と言われることもあります。
確かに、ここのブログでも、問題に対する解決法や対処の仕方をたくさん紹介しています。
それでは、当の本人は、「悩みを瞬時に解決して平常心に戻っていくか」というと、そういうわけでもないです。
それでは、なぜ、そんな私でも、解決法などをアウトプットできるのか、そして、そもそも悩みなんていだいていてはいけないのだろうか、ということを少し話してみたいと思います。
自分でうまくいった体験と周囲の成功例の共通点を体系化
私自身でうまくいった事例では、「自分でもできたのだから他の人もうまくいくに違いない」という思いがあります。
でも、それだけでは独りよがりなことかもしれません。なので、実際に、他の人を観察してみて、同じような事例でうまくいっているのであれば、「これはうまくいく方法なのだ」と確信するわけです。
例えば、
「職場の飲み会が苦痛という人が急増中!行きたくない5つの理由&参加するメリット4つと対処法」というエントリーがあります。
これは、職場の飲み会に参加したくない時の対処法について書いたものです。
自分でも場をシラケさせずにうまく断ることができた体験も入っていますが、他の社員も同様に、波風を立てずにうまく断っている方法が一致したので「これはいける」と感じたわけです。
それも一度だけではなく、ずっと再現性のあるものだったので、心構えさえ知っておけば、ずっと使えるなぁ、と考えたのです。
こうしたことも、いきなりうまくいったわけではなく、時には、その場の雰囲気を乱してしまったりなど、失敗も重ねたうえで、ようやく、ほとんどリスクのない無難な行動を導き出したのです。
職場は濃い人間関係の縮図なわけですから、なるべく温和な雰囲気を継続させたいと誰もが考えています。
そうした中で、問題が生じた時には、「どのように温和な雰囲気を保てるだろうか」と常に考えていました。冷や汗をかいたり、恥をかいたりしながら、なんとか対処してきたわけです。
ただ、そうした体験や周囲の観察から、なんとなく「失敗しない方法」がわかってきたということです。
それに、いくら「失敗しない方法」を知っていたとしても、いざ、方法を使う時になっても不安を抱えたまま実践していたりするわけです。悩みや不安がなくなったわけではないのですね。
後悔したり失敗したりしたことからの教訓
会社でうまくいった体験は、自信を持ってお伝えすることができるのですが、実はそれ以上に後悔したり失敗したりしたことのほうが多いのが現実です。
「自分は成功しなかったし、うまくいかなかった。こうしたほうがよかった…」と思うことのほうが多いのです。
ですから、自分が体験したことの逆を提案しているものもあります。
このエントリーもそうですね。
「会社で働くことは、お金ための忍耐」と感じている一生懸命なあなたへ
自分の過去を振り返ってみると、失敗した、とか、無理しすぎていたな、、、とか、そんなことのほうが多いです。特に無理をしていたことは、わざと自分に課していた修行のようでもありました。
他に苦しんでいる人がいるのであれば、「そんなに無理することはないんだ。無理したって後悔することなんだ」と言ってやりたくて書いたものもたくさんあります。
これも、成功したから書いたのではなく失敗したから書いているのです。でも、書き手としては、成功体験をバンバン書いていったほうがかっこよく見えるのかもしれません…。実は、そこも迷うところでもあります。
カウンセラー自身は夢や希望でいっぱいなのか
職場でうまくやる方法以外でも「希望を持つ大切さ」や「不安を解消する方法」などに関する記事も書いています。そうすると、「このような内容を書いているのだから、さぞかし希望に満ちているのだろう」と感じるかもしれません。
確かに「希望」に関するエントリーはいくつか書いています。
しかし、これは、あなたに伝えているように見えますが、実は「自分自身」に向かって書いています。記事中に出てくる「あなた」とは、実は自分自身なのです。
私は、かなりネガティブな性格だと自己分析しており、周囲の人からも悲観的な印象を受けるようです。楽観的でわいわい楽しく、という感じではないです。
私は、楽観的に人生を生きている人のことが本当にうらやましく、「自分も楽観的だったらなあ・・・」といつも思います。やっぱり、楽観的なほうが人生楽しく生きていけるだろうし、苦しみに耐えている時間が少ないと感じるからです。
しかし、私自身が楽観的に生きていくことがなかなかできずに、不安に押しつぶされそうになることが多いからこそ、自分自身に向かって「希望」について書いているのです。
例えば、こんな記事です。
「将来が不安で眠れない!というあなたへ贈る物理学的に証明された希望」
「苦悩」を数学的に計算すると「希望」に通じる意味が存在した/ヴィクトール・フランクルの公式
「会社員でもシンクロニシティが頻繁に起きる不思議な魔法の4ステップと体験事例」
これらの記事は、「確かにそうだよね」と納得はするものの、普段の日常生活では、すぐに不安の海におぼれそうになります。
そんなときに、私は自分で書いた記事を読み直して「そうだよな、、、きっと大丈夫なはずだ」と言い聞かせて、また現実に戻っていくのです。
私はそんなに強い人間ではありませんし、夜寝ている時でも、「はっ!」と目が覚めたり、心配事で、胃をキリキリさせながら眠りにつく、ということもしょっちゅうです。
「生きるって、すごく面倒な行為だな」…なんて、弱気になって、さらにお腹が痛くなったり、真っ暗な部屋の中で頭を抱えて「あーーっ」と(小声で)叫んだりすることもあります。
言いたいことがうまく伝わらずに誤解を生んでしまって相手に不快な思いをさせてしまったり、自分の行なっている作業がなかなか成果に結びつかなかったり、やらなくてはならないことを後回しにして自己嫌悪に陥ったり・・・。
私は、いろいろなことをたくさん乗り越えてきて悩みを解消できたから「希望」のようなポジティブな記事を書いているわけではなく、現在進行形の中で自分に言い聞かせるために書いているのです。
でも、自分のためだけではもったいないかなと思って、こうしてブログでシェアしているのです。
そのようなわけで、悩みがないわけではなく、もしかしたら悩みや不安が頭の中に占める割合は他の人よりも多いかもしれません。
さいごに
…というわけで、カウンセラーは、クライアントのお話をお聞きして、悩みをやわらげたり、問題解決の支援をしていくことが仕事ではあります。
しかし、だからと言って、その本人に悩みや不安がないわけではなく、不安はありますし、たくさん悩んでもいます。
その不安や悩みを、また、今まで自分が習得してきた技術や体験で、自分自身に対してカウンセリングしたり、瞑想して心を落ち着かせたりしているわけです。
これは、プロとして悩んだり苦悩してはいけないのか、それとも人間だから許されるのか、ということについては、いつも葛藤している問題でもあります。