働く人の本音を世の中に生かす

才能が発揮できずに一生を終えてしまう人がなんと多いことか/君たちはどう生きるか

 
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心理カウンセラー/調香師 「すべての人が自分らしく生きられる社会」を夢見て、心優しくも励ましが必要な人たちの手助けになればと思っています。 フレグランスデザインでは、あらゆる香りを創ることができます。
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吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」。今から80年前の昭和12年に書かれた本ですが、宮崎駿監督の次回作アニメ映画のテーマということで再びブームになっています。

この本の中に「生産」と「消費」という話が出て来ます。衣服や家を作ったりする生産する人と、それらを消費する人。

この時代にすでに、「ものを生み出す人」という視点が描かれています。

 

生産者と消費者という区別

 

主人公のコペル君は中学生なので、生産活動はせずにひたすら消費する側として生活しています。一方、コペル君の友人の浦川君は、家の貧しい豆腐商店を手伝って油揚げを作っています。

 

生み出してくれる人がいなかったら、それを味わったり、楽しんだりして消費することはできやしない。生み出す働きこそ、人間を人間らしくしてくれるのだ。
これは、何も、食物とか衣服とかという品物ばかりのことではない。学問の世界だって、芸術の世界だって、生み出してゆく人は、それを受け取る人々より、はるかに肝心なんだ。

(引用:君たちはどう生きるか/150p)

 

コペル君は中学生なので、消費するのみでまったく生産はしていません。一方で、同級生の浦川君は、中学生ながら、油揚げを作って売るという生産者の顔を持っています。

 

「生産者と消費者という区別を見落としてはいけない、だから、いくら油の匂いがして貧乏だからと言って浦川君をバカにしてはいけない」と、コペル君のおじさんは諭します。

 

ものを生み出す人と消費する人

 

会社員の人に「あなたは、ものを生み出す人か?」と問うたら、なかなか「イエス!」と答えるのは難しいと思います。もちろん、会社で働いて給料をもらっているので、なんらかのモノを生み出しているはずだ、と考えるでしょう。

 

労働は、モノやサービスを世の中に売ることにより価値を生み出しています。その価値がお金に変わるから給料が支払われるわけです。そのような関係から「会社で働いていること自体が、ものを生み出す側である」と考えるかもしれません。

入ってくるお金と出て行くお金で考えたら、ものを生み出す活動と消費する活動は半々だ、という理屈になりますね。

 

ただ、あなた個人が、「会社でどんなモノを生み出しているのか」と問われると、すぐに返答することは難しいと思います。それは、日々の会社生活の中で、自分が生み出している価値について意識することがないからです。

 

 

あるワークショップで、「あなたはモノを生み出す人か?それとも、モノを消費する人か?」という質問に対して、ほとんどの人が「消費する人」として手をあげました。

商売人として生活している人は、「モノを生み出している」と自覚している人が多いのですがが、会社などの組織に属して働いている人にとっては、「私たちは消費者である」という意識が強いようです。

 

では、本当に会社員は生産者ではなく消費者なのでしょうか。

 

モノを売る現場から遠いと生産者としての実感がわかない

 

会社は最終的には必ずモノやサービスをお金に変えています。しかし、その換金の現場にはほとんど立ち会えないのが会社員ではないでしょうか。

 

例えば、会社で人事の仕事をしている人は、なかなか商売の世界にいるという実感はないと思います。逆に、自分が稼いだ給料をモノやサービスに交換する現場にはよく立ち会うことので、消費者という意識なのでしょう。

 

そして、最近は、自分の仕事は大変だと思う人は多いけれども、やりがいを持っていると感じている人は少ないと言います。

会社員の人が、自分の仕事に対して、やりがいを持つことができないのは、モノやサービスを売る現場から遠くてお客さんのイメージができないからです。

生産者と消費者の接点に近いところにいないと、モノやサービスを介して、人間の感情に触れることができません。

 

そのモノやサービスが、自分の才能や得意なこととは関係ないところで生み出されていることも、やりがいを実感しづらい構造になっているのかもしれません。

 

君たちはどう生きるか」でも、このような記述があります。

 

人間である以上、誰だって自分の才能をのばし、その才能に応じて働いてゆけるのが本当なのに、そうでない場合があるから、人間はそれを苦しいと感じ、やりきれなく思うのだ

 

これからはみんなが価値を生み出す側に

 

グーグル創業者でCEOのラリー・ペイジがこう言っています。

20年後、あなたが望もうが、望むまいが今の仕事のほとんどがロボットによって代行される

 

これは、ラリー・ペイジの予言というものではありません。

検索エンジンなどのサービスを元に得た莫大なお金を、人工知能やロボットなどにどんどん投資していって、ほとんどの仕事を機械に置き換えていく、と明言しているのです。

 

これは、今やっている仕事がなくなってしまうかもしれない、ということからは脅威ですが、きつい労働から解放されるという点では希望です。

 

そして、人間が価値を生み出していくためのツールや環境が豊富になってくる時代が、さらに加速していくと思います。

 

現在では、ブログやSNSで個人が情報発信していくのは当たり前の時代になりましたし、一昔前までは、動画配信はテレビ局しかできないものでした。

こうしたことがテクノロジーの進展で誰でもできるようになったわけです。それも、驚くほどの安さで。

 

個人がモノやサービスを生み出していくためのツールや環境はどんどん充実していっているのです。

そうしたなかで、これからは誰もが「価値を生み出していく」という視点を持たないと、豊かに生きていくことが難しい時代になっていくかもしれません。

 

実は、昭和12年に出版された「君たちはどう生きるか」の中でも、おじさんがコペル君に究極の問いを投げかけています。

 

君は、毎日の生活に必要な品物ということから考えると、たしかに消費ばかりしていて、なに一つ生産していない。しかし、自分では気がつかないうちに、ほかの点で、ある大きなものを、日々生み出しているのだ。それは、いったい、なんだろう

(引用:君たちはどう生きるか/151p)

 

おじさんは、コペル君にこの質問を自分で考えるように言います。本の中でも答えは出ていないので、読者にとっても、質問を投げかけられている感じです。

果たして、あなたが日々生み出しているものって、なんでしょうか。

 

さいごに

 

自分が日々生み出しているものって、なんだろう、という問いには、私も答えを見つけられていません。

ただ、言い古された言葉かもれませんが、「一人ひとりみんな違うということは特別な価値があなたにある」ということは確かです。その特別な価値を見つけ出すことができれば、あとは全自動なのに・・・と思います。

 

ひとりひとりに宿っている特別な価値。

それが発見されずに一生を終えてしまう人がなんと多いことかというのは、とても残念でやりきれない思いです。どうして、芸術家とかアスリートなどの一部を除いて、自分ではなかなか見つけられないような仕様になっているのだろうと考えてしまいます。

 

価値を生み出す人になる」というのは、これからの時代を生きる全ての人の課題になってくると思います。

 

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