会社の人事で異動になったけれど不満で納得できない!そんなときどうしたらいい?
ある程度の規模の会社に勤めていると、人事異動というのはつきものです。多くの人が部署を異動したり、昇格・昇進するタイミングというのは年に1〜2回です。
会社員につきものの人事異動ですが、飲み屋でよく話題になるのも、この人事異動に関することです。
ところが、異動する本人には、もちろん大きな影響があるのですが、異動がない人にとっても何かと気になるテーマのようです。そして、人事の結果が自分の考えと違う場合には、「あの人事には納得いかない!」と憤ってしまう人もいます。
あなたが他の部署に異動になったり、上司が変わったりして、職場の雰囲気が大きく変化することもあるのが人事異動です。
そのような人事異動の結果に納得いかないという不満が大きくなってしまった時、いったいどのように気持ちの整理をつけたらよいのでしょうか。
そして、大きく変わった雰囲気の中でも、モチベーションを保って仕事をするには、どのような方法があるのでしょうか。
そもそも人事異動ってどうしてやるの?
会社で人事異動があるのは、あたりまえの事実ですが、どうして定期的に人事異動をしなければならないのでしょうか。
なんでもできる社員を増やすため
日本の会社では、専門特化した社員を増やすよりも、「なんでもできる」社員を増やすことを好みます。いわゆるジョブローテーションといって、いろいろな仕事を経験させることによって、幅広い知識とスキルを身につけてもらうとするものです。
この狙いは、会社が成長して行くにあたって、時には手薄な部署が出てきたり、逆に人あまりの部門がでてきたりと、組織にムラが生じることがあります。
そうした事態に対応するには、「なんでもできる」社員がいれば、すぐにカバーできるという利点があります。
飲食店であれば、会計時のレジ打ちだけでなく、配膳や接客、材料の調達や調理まで、なんでもできれば、どこかの部門に欠員が出ても、すぐに対応することができます。
ところが、「接客とレジ打ちはできるけれど調理はできません」となれば、調理係に欠員が出れば深刻な事態となります。こうしたことを防ぐために、いろいろな仕事を経験させるわけです。
会社全体として、常に仕事が回るようにリスク管理をしているのです。
それに、将来的に、部長や役員などの幹部になった時に、会社全体のことをよく知っていた方が、会社をうまく経営していけるはずだ、という考えもあります。
社員のモチベーションを上げるため
定期的に人事異動があれば、あなたがやりたい仕事につくチャンスが生まれることになります。
あなたが「調理の仕事をやってみたいなぁ」と考えていたとすれば、たとえ今は接客業務をしていたとしても、やりたい調理の仕事をできるかもしれないのです。こうしたことが、モチベーションを保つ仕組みとなっているのです。
それに、人事異動には、仕事が変わるという側面の他に、平社員が係長になったり、係長が課長になったりして、昇進・昇格していくという側面もあります。
仕事の内容が高度になるとともに給与が上がって行くというシステムが社員のモチベーションを保っているのです。
職場の雰囲気を変えるため
長い間ずっと同じ人と仕事をしていると、職場がマンネリ化していくことがあります。職場全体がダレてくるわけです。
そこで、人事異動によって雰囲気を刷新しようとします。新しい上司が来れば、その上司のカラーが部署のカラーになることが多いので、今まで停滞していた空気がリフレッシュされる、ということですね。
特に、会社の社長が変わる場合、今まで良かれとされていたものがNGになったり、今までやっていなかったことをやることになったり、会社全体が影響を受けます。
特に会社の業績が思わしくなかったり、事件や不祥事が起きた時などは、大幅に人事を変えて職場の雰囲気をリフレッシュすることはよく行われていることです。
なぜ人事異動の情報はギリギリまで秘密にしておくのか
ところで、こうした人事異動は、直前まで秘密にされています。誰をどこの部署に持ってくる、とか、誰を課長にしようとかいうことも、水面下で静かに調整されるのです。
いったい、こんなに秘密工作をしなければならないのは何故なのでしょうか。
その答えは、ずばり「会社の秩序を保つため」です。
例えば、人事異動の内容が直前ではなく、半年前に伝えられたとします。もし、あなたが他の部門に転勤になることが決まっているのであれば、「今の仕事は適当にやっておけばいいや。自分はいなくなるわけだし」と考えてしまうでしょう。
それが、あなた一人ではなく、異動予定の他の社員もみんな考えていたとすれば、会社全体として仕事のレベルが落ちてしまうわけです。
これを防止するために、ギリギリまで人事の内容は明かさないのです。
これは、あなたが異動しなくても、上司が異動する場合も同じことになります。「どうせ、今の上司はいなくなってしまうのだから適当にやっていればいいや」っていう感じになってしまって、やはりモチベーションが下がってしまいます。
人事異動を水面下で調整することも、会社の秩序を保つためには必要だと考えて、密室で行われているのです。
人事の調整は個人情報の激しい情報戦でもあります。「この社員の能力はこうだけど、あの社員のスキルはああだから」と、年齢や勤務歴といった形式的なもの以外の情報も、関係者の間で情報交換して調整されているのです。
こうしたことが表に出てしまうと、職場が混乱に陥ることになります。社員同士の信頼関係に打撃が生じるかもしれません。だから、人事の調整は水面下で密かに行なっているのです。
人事異動に納得いかないときは、どうすればいい?
人事はデリケートな情報戦だからこそ、水面下で行われるのですが、やがて、結果が表に出てくる時期があります。人事発表の時です。
激しい情報戦を終えた後の結果なので、ほとんどの社員の関心ごとでもあります。
しかし、その人事に対して、あなたが納得しない結果であったら、どうでしょうか。やはり急に不満がこみ上げてくるのではないでしょうか。
自分が予期せぬ異動になったとき
「どうして私が営業部に配置換えにならなくちゃいけないの?」
「今の職場の近くに自宅があるのに、なんで俺だけ遠くの営業所に転勤なんだ!?」
「通勤時間が2時間を超えそう…..こんなに長い時間、耐えられない!」
・・・と、いろいろと気持ちがざわつくと思います。
あなたが希望していた部署に異動するならよいのですが、そうでなかった場合には、不満が残ることになります。
先ほど書いたように、人事異動は、「なんでもできる社員」を増やしたり、新しい仕事のチャンスを与えたりと、目的があります。
あなたがやることは次の2つです。
「新たな仕事を体験してみよう」とつぶやく
やったことがない部門に配属になったとしても「この仕事、けっこう面白いかも」となるかもしれないのです。「どうして私がこんな仕事に…」ということについては、新しい仕事をやり始めてから評価すれば良いのです。
期待値が低いぶんだけ、「この仕事、もしかして、私好みかも」ということになる可能性も高いのです。
ですから、今は不本意であっても、心の中では「新たな仕事を体験してみよう」と呟くのです。そうすることで、ほんの少し、表面だけでも受け入れたことになります。
そして、その「ほんの少しのぶん」があなたの不満を和らげるのです。
「今、この変化をサポートするのに必要なエネルギーは何だろうか」と考える
人事異動という、あなたにとっては決して小さくない変化が訪れたのです。しかも、現時点ではあなたが望まない異動です。そのとき、実際に起きてしまった結果に対して、どのような態度を取るかで、これからの方向性も変わってきます。
「新しい部署で楽しく仕事をするには、どうしたらよいだろうか」
「長距離通勤になったら、オーディオ学習で何が勉強してみようかな」
…などと、自分に起きた変化をサポートするものを考えるのです。そうしたことで、あなたの不満に向いていた矢印が別の方向にそれていきます。
「今、この変化をサポートするのに、必要なエネルギーはなんだろうか」
…と意識するだけで、結果として、不満が収まっていくのです。
上司が変わったとき
自分は異動しなくても上司が変われば仕事のやり方や雰囲気も変わってしまうかもしれません。特に評判の良くない上司がやってくる場合には、心穏やかではないでしょう。
「なんで、あんな上司がうちに来るの!?」っていう不満が出るかもしれません。
でも、この場合もあなたがやることは同じです。
- 「新たな上司を体験してみよう」とつぶやく
- 「今、この変化をサポートするのに役立つエネルギーはなんだろうか」と自分に問う
同僚が昇進したとき
同僚や気になる人が昇進昇格したりすると、自分には関係ないのに「なんであの人が昇進するわけ!?」と妬んでしまったり、心穏やかでいられなくなる時があります。
こうしたことは、他人との比較によって自分の評価が落ちてしまったように感じて、不満とともに残念な気持ちになってしまうのです。
この場合は、確かに直接、あなたには影響のない人事かもしれませんが、納得いかない気持ちが収まらないのであれば、早い段階で、仲の良い仲間と連れ立って飲みに行ってしまうことです。そこで、愚痴るのです。
「なんであの人が課長になるんだよ〜〜〜」と愚痴りましょう。
半月もしないうちに、そうした話題をすることも億劫になり、そのうち不満にフォーカスしなくなります。
実は人事異動を調整するほうも大変
人事異動については、「誰がこの人事異動を企てたのか」ということも、ひそかな話題になることもあります。しかし、人事異動を企画するほうも、デリケートな情報を扱うぶん、けっこう大変なのです。
人事異動の結果に対する評判を気にしたりもしますし、場合によっては表沙汰にならなくても「あいつの人事は気に入らない」と恨みを買うことにもなるかもしれません。
ですから、通常は「誰が誰を動かしたのか」ということすら、秘密裏に行うのです。
逆に人事異動で人を動かすのが面白くなってしまった場合には、もうその人は終わりだ、とも言われます。社員を将棋の駒のように扱い始めると、職場の雰囲気にも潤いがなくなってしまいます。
人事異動を立案するほうも面白い仕事ではないはずです。
こうした事情のもとに、毎年、人事異動の時期はやってくるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
もし、あなたが職場の人事異動に不満を持ってしまったら、次の2つのことを考えることが有効であると書きました。
- 「新たな仕事や上司を体験してみよう」とつぶやく
- 「今、この変化をサポートするのに役立つエネルギーはなんだろうか」と自分に問う
結局は、「いま」にフォーカスして新たな変化に対応していくしかないのです。
「いま、ここ」にフォーカスすると「不満」から視線が外れます。そのとき、あなたの不満も軽減されるのです。