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なぜ会社は社長が言った目標を簡単に達成してしまうのか/個人にも活用できる目標管理の仕組み

 
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心理カウンセラー/調香師 「すべての人が自分らしく生きられる社会」を夢見て、心優しくも励ましが必要な人たちの手助けになればと思っています。 フレグランスデザインでは、あらゆる香りを創ることができます。
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「我々は来年中に売上高を2倍にします!」とか、「3年以内に業界シェアトップを達成します!」などと、社長が会社の目標を発表している姿を新聞やニュースで見たことがあると思います。

 

これらの発言を聞いて
「本当にそんなことができるのか?」
「1年で売上を倍にするなんて無理だろう」
なんていう反応をする人も多くいます。

 

しかしながら、たいていの場合、終わってみればプレスリリースした会社の目標は達成されています。

会社って、そんなにすごいのか!?

…と感じる瞬間ですが、それは、会社には目標達成のための仕組みがあるからです。

 

会社の目標達成の仕組みとは

 

会社には掲げた目標を達成するための知恵を持っています。それが目標管理です。

 

目標設定

 

まずは「うちの会社は何を目指すのか」という目標を設定するわけですが、その最上位が「経営理念」というものです。

 

経営理念

会社には、「なぜその会社があるのか」という存在意義を示した「経営理念」という最上位の目的があります。

例えば、ソフトバンクであれば「情報革命で人々を幸せに」というのが経営理念です。

 

コンビニ大手のローソンであれば、
「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」

ディズニーランドの運営会社であるオリエンタルランドは、

「自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供します。」

としています。

 

そして、その経営理念を実現するために、様々な仕事が展開されているのです。

だから会社の社長は「経営理念を実現させるためには、今年はどんなことをしたらよいだろうか」と常に考えているわけす。

 

経営目標

その経営理念を実現するために、来年度はどんな目標を掲げようか、と考えるのが「経営目標」です。

例えば、「来年度は売上高を2倍にします!」というのが経営目標です。

 

目標の数値化

会社の存在意義を示した最上位の経営理念は、ふわっとした感じの目標ですが、来年度1年間の目標では、ふわっとしたものだと、どの辺がゴールラインなのかがわかりません。

 

そこで、このラインを超えたら目標が達成だよ、ということを示す数値が必要となります。

売上高2倍、という目標で、現在の10億円が売上高であれば、20億円にする、というのが来年度の経営目標の数値ということになります。

 

会社内でよく言われるのは「数値化されないものは測れない」ということから、必ず数値化されます。数字というと、なんのぬくもりもないような感じがしますが、あとで公正な評価をすることを考えると、数値化せざるを得ない事情があります。

 

目標を達成するための施策(方法・アイデア)

 

では、経営目標で「売上高を2倍にする」と宣言すれば、それで2倍になるかというと、そうではありません。2倍にするための行動をしなければならないのです。

「売上を2倍にするにはどうすればよいのだろう」ということを考えて文章化するのが、目標を達成するための方法です。

 

例えば、

  • 顧客数を2倍にする
  • 既存の顧客に倍以上の商品を買ってもらう
  • 商品を値上げする
  • 新しい商品を開発して売り出す
  • 海外に進出して市場を開拓する

・・・などなど、売上を2倍にする方法をいろいろ考えていきます。

 

その中で重点的にやっていく項目から順番に並べていき、効果が見込めなさそうなものは削除していきます。

残ったのが、
「顧客数を2倍にする」
「新しい商品を開発して売り出す」
という項目に絞られたら、さらに「顧客数を2倍にするにはどうすればよいのだろう」と考えていきます。

 

「飛び込み営業をする」
「ITを活用してネットからの集客を促進する」
など、いろいろな方策を考えて、また優先順位をつけていきます。

 

スケジューリング

経営目標を達成するための「やること」を決めたら、いつから始めていつまでに終わらせるのか、というスケジュールを組みます。たいていは、優先順位が高いものから順に早期にやっていくことになります。

 

この「いつからいつまで」というのも数値化のひとつです。これで、「この項目は遅れているけれど、こちらは進んでいる」という管理ができるのです。

こうしたものを紙にまとめて社員に周知したり配付したりしているのです。

 

人事考課の目標設定

会社が定めた経営目標や目標を達成する方法については、ひとりひとりの社員に対しても求められます。

「来年度の経営目標を達成するためには、あなたはどんな仕事をするのか」ということを、個人の業績評価である人事考課の目標設定で書かされる人は多いと思います。

要するに、会社で決めた経営目標達成のために、全社員が駆り出される、といった感じです。

 

人事考課は、社員が立てた目標に対して、どれだけ達成できたか、というのが評価の基準になりますから、目標をクリアすることに一生懸命になります。

よく営業部員で、売上ノルマがグラフにされて壁に張り出されているような職場を見ることがありますが、あんな感じです。

 

こうして、「売上高を2倍にする」という会社の目標に対して、社員ひとりひとりにまでコミットされるのです。

 

定期的な達成度合いの確認

 

さて、ここまでは目標立てる、計画を立てる、という段階ですが、目標を立てたり計画しただけだと、絵に描いた餅になってしまいます。それを着実に実行する手立てが必要になります。

それが、定期的にチェックする場を作ることです。

 

進捗会議

会社の場合には、1ヶ月ごとや四半期ごと(3ヶ月ごと)に、目標に対してどのくらい達成できているのかというチェックを入れることが多いです。

チェックをするのは、上司であったり、経営層であったりしますが、1ヶ月ごとの確認は部署の部長が行うことが多いでしょう。四半期ごとや半期ごとに行う確認は、経営層も入った会議で確認されることがあります。

 

経営層の追求は部長を経由して一般社員へ

ここで経営層は、部門のリーダーである部長に目標に対する進捗状況を聞いていきます。だから、部門のリーダーである部長は目標を達成するように部下に対して懸命に働きかけるのです。

 

これが行き過ぎてしまうと、パワハラや虚偽報告(嘘の報告を上司に言うこと)ということまで発展してしまいますが、そうならないギリギリでプレッシャーをかけるのです。

各部門の部長も、自分の部下を甘やかして、目標達成できないでいると、経営層から「なぜ達成できなかったんだ!」と問い詰められるので、同じように部下に要求せざるを得ないわけです。

 

しかし、こうした達成度合いを確認する場があるからこそ、経営目標は絵に描いた餅にならずに、現実が「描いた餅の絵」に近づいていくわけです。

 

うまくいかなかった方法は改善を検討

当初は「このような方法なら売上を2倍にできるはずだ」と考えたアイデアでも、実際にやってみるとうまくいかないこともあります。どんなに頭がいい社員が考えても、「えーー、なんでダメなんだろう」と思うことはたくさんあるのです。

そこで、結果が出せなかったダメな方法については、「もっと良い方法」に改善する必要があります。そうしないと、目標を達成することができなくなってしまうからです。

 

例えば、売上2倍を目指して、飛び込み営業を推し進めていったところ、労多くして効果なし、みたいな状況であったら、そのまま年度が終わるまでがむしゃらに頑張っても大した効果が出ないかもしれません。

 

そこで、飛び込み営業はやめて「既存の取引先に紹介してもらう」という方法に変更したとします。その場合、取引先に対して、「紹介してくれたら今のサービスを割引にします」という提案を持っていったらうまくいったと言う事例もあります。

そうして、うまくいかなかった施策を改善していくのです。

 

それは、やはり、目標に対するチェックを定期的に行っていかないと、改善のタイミングも逃してしまうものです。

こうしたことを組織として実行しているから、会社で掲げた目標は、ほとんどの場合、その年度が終わると達成されていることが多いのです。

 

会社の目標管理を個人活動へ応用する方法

 

こうした目標管理の方法は、ある程度の規模の企業では日常的に行なっていることですが、個人の活動でも応用可能です。

個人で事業を行なっている方や会社以外で地域の活動に携わっている方もいるかと思います。

 

会社で目標達成方法が確立されているのであれば、個人的な目標もこれでみんな達成できてしまうよなぁ、とよく考えていたものです。

 

自分の大切にしている価値観を明確にする(経営理念にあたる)

 

「自分は何のために生きているのだろうか」という問いが究極的な自分の価値観に繋がると思います。しかし、そのような哲学的な問題は、そう簡単には文章にできないでしょう。

逆に明確にわかっている人は、それだけで目指すものがあるわけですが、極めて幸せな人と言えます。

 

ただ、何となく生活していても、おぼろげながらも「私はこんなことを夢見ているよなぁ」というのを仮に設定しておいたほうが、その後の行動にハリが出てきます。

「これだ!」というものが見つかれば、そちらに変えればいいわけですから。

 

私の例で言えば「すべての人が自分らしく生きられる社会」という、ちょっと壮大なものです。しかし、こうしたことを仮置きしておいても、「そのためにはどうすればよいのだろう」と思考が働いていきます。

 

どんなことを目標にやっていくか決める(経営目標にあたる)

自分自身の価値観や夢を形にするにあたって、「この1年の目標はどうしようか」と考えることです。これは、会社がその年度の経営目標を設定することと似ています。

 

目標を達成するための方法を考える(目標達成方法にあたる)

「はたして自分の夢を実現するにはどうしたら良いか」ということを、できなさそうな方法も含めて紙に書き出していきます。そして、優先順位を決めて上位のものを「やるべきこと」としてセレクトします。

 

目標を達成するための方法に日付をつける(スケジューリングにあたる)

「やるべきこと」のスタートの日にちや期限をつけるということです。こうすることで、うまくいったときの未来予測もできますし、後々、できたかどうかチェックすることで改善のための反省会もできます。

 

紙に書いたものを定期的に確認する(達成度合いの確認にあたる)

目標や達成方法、スケジュールについては、紙に書いて見える形にすることです。いつでも見えるようにしておかないと、「何をやろうとしていたんだっけ?」と忘れてしまいます。

食品も見えるところに置いておかないと、気がついた時には腐って食べられなくなってしまいます。人間は忘れっぽいので、見えるようにしておかないとダメなのですね。

 

うまくいかなかった方法を改善・変更する

最初は、「これはいい方法だ!」と感じても、現実はそう甘くはなかった、、、ということもあるでしょう。そのようなときに、最初に考えた方法に固執してしまうと、効果がないまま時間が過ぎてしまいます。

そこで、「他にいい方法はないか」「今の方法を改良する手立てはあるだろうか」と問うのです。

 

こうしたことをぐるぐるやっていくことで、個人の活動であっても目標達成に近づけていくわけです。

 

個人活動に応用する上での課題

 

個人の活動で適用するには、実はちょっとした課題があります。

 

それは、個人は自分が社長であり従業員でもあるので、組織で行うような牽制が効かないのです。要するに、社長や部長のように、きちんとチェックして指導してくれる人がいないので、どんどん怠惰な方向に流れていってしまいます。

 

目標管理の方法を知っていても、個人でやる人が少ないのは、こうした行動するための仕組みが一人では作り上げることができないからです。

そのために、よほど意思が強い人は別として、コーチをつけたり、ビジネスコミュニティで目標を宣言してやらざるを得ない状況に持っていく、などという方法を取る人がいるのです。

 

私も、目標や達成するためのアイデアは書き出せても、それを実際に実行するのが難しいと感じることがあります。そんなときには、モーニングコールを頼んで性格を規則正しく保つ工夫をしたり、進捗を確認してくれるコーチの助けを借りたりしています。

 

会社で社長が言った目標を達成できるのは、会社という組織で行なっていて、そこに属する社員はサボりようがないから、自動的に目標達成に向かっていくのですね。

 

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