会社で好きな人ができてしまった!社内恋愛はどう振る舞えばいい?という問いに対する答えは1つ
仕事中はまったく話題になることはありませんが、少人数の飲み会ではひそかなテーマになることがある社内恋愛。社歴が長い伝統的な企業ほど、オフィスからプライベート色を排除していく方向にあります。
そんな会社の中でも、好きな人ができてしまうのは、もう理屈の世界ではないので仕方ありません。
理性ではコントロール不可能と思える社内恋愛。いったい、オフィスの中ではどのように振る舞えば良いのでしょうか。
社内恋愛の実態
私が以前、働いていた会社は、社歴が長く比較的お硬い企業でした。社員の構成比も男性社員が圧倒的に多かったので、「社内恋愛」などという言葉からは無縁の職場だと思っていました。
・・・しかし、水面下では、何組ものカップルがファンタジーの中で泳いでいたわけです。
こうしたことは、私はあまり関心がないというか、情報に疎いというか、後になってから耳に入ってくることが多かったです。でも、耳に入る、ということは、社内恋愛に関する話題があちこちで密かに繰り広げられていた、ということになります。
会社で問題になった社内恋愛のケース
会社でちょっと問題になったケースを見てみましょう。
男性上司と女性部下との不倫
プライベートなこととはいえ、不倫が発覚してしまった場合には、会社も対応してしまいます。社内恋愛の中でも、不倫は、職場のみんなに、なんとなく雰囲気が漏れてしまうものです。
なぜ、わかってしまうかというと、男女が共有している時間の制限にあります。
不倫の場合は、一方が、または、両方が既婚者である場合の恋愛関係のことを不倫と呼ばれます。少なくてもどちらかが家庭をもっているわけですから、1日24時間のうち、不倫相手と会える機会というのは限られているわけです。
ここが独身同士の恋愛と違うところです。
その最も接近しているのが職場です。職場では時間も空間も共有しているわけですから、ここでお互いを味わうことをしないと、他の時間は虚無の時間なのです。
したがって、お互いに無感情のまま時間を過ごせるわけがななく、お互いに緩んだ瞬間を何回も表してしまうのです。
そうすると、他の社員もひとり、またひとり、と気づいていってしまいます。
時間とともにうわさが広まり、やがて職場内では周知の事実となってしまうのです。
会社としては見過ごすことができなかったのでしょう。
人事異動のタイミングで、男性上司は遠くの営業所に転勤になってしまいました。
取引先の女性との不倫
取引先の女性との不倫は、厳密には社内恋愛ではないですが、かなり重要な取引先の場合、会社が対策をしてくることがあります。
地方の営業所に勤めている既婚の男性社員が取引先の女性と不倫をしていました。社内恋愛ではないということで油断があったのでしょう。それに、東京のような都会と違って、匿名性も担保されない地方の話です。人間ネットワークの網にかかって不倫がバレてしまいました。
会社が下した処分は、不倫した男性社員を懲戒委員会にかけることでした。
不倫が懲戒の対象になるのか!…と、当時は驚きでしたが、実際に役員に囲まれて吊るし上げにあったと言います。
実際に処分を受けたのは男性社員のほうです。取引先の女性社員はお咎めはなかったようです。
男性社員の会社への償いは「始末書」を会社側に提出することでした。
「もう不倫はしません」というような内容を書いて提出したと言います。
ただ、現在では、不倫が発覚しても、懲戒委員会にかけるようなことはなくなったと聞いています。
会社が積極的に踏み込んでいく領域ではない、というのがその判断です。
会社側が社員のプライベートな部分にまで踏み込んでくるのは、就業規則などに、懲戒の条件として「その他、風紀を乱すような行為があった場合」などの記述があるからです。
10年前のケースなので、現在は同じような対応は取らないと思いますが、人事異動による転勤はあるかもしれません。
ちょっぴり問題になった社内恋愛のケース
会社の同じフロアで、恋愛関係になった社員がいました。ふたりとも独身なので、恋愛すること自体は自由であり、問題はありません。
しかし、この恋愛が職場の上司にバレてしまいました。
その上司曰く、
「あのふたり、付き合っているんだよなぁ…。困ったもんだ」
どうやら、社内恋愛は上司にとって、困ることのようです。
別に会社で恋愛が禁止されているわけではないので、別に良いことのようにも思います。しかし、上司としては、今まで気にしないで良かったことを、気にしなければならない、というところに煩わしさを感じたのでしょう。
社内恋愛の成功例
それでは、社内恋愛を楽しみながらも、うまく行ったケースとはどのようなものなのでしょうか。
中距離恋愛
同じフロアでも別の部署にいる男女が恋愛関係にあったことがありました。そもそも部屋が違うので、オフィス内ではお互いに頻繁に顔をあわせることはできません。
しかし、そのぶん、かなり長い間、水面下で恋愛を楽しむことができます。
その社員、とくに男性社員の方が、完璧なまでの秘密工作をしていました。とにかく会社には絶対にバレないように、オフィスの中ではポーカーフェイスを貫き、通勤ルートのような危険な場所では彼女と会うことはなかったと言います。
そして、ふたりで時を合わせて婚約発表となりました。
結婚が確実になるまで、一切恋愛の香りを漂わすことなく、まるで芸能人の重大発表を行うが如く、完璧な情報統制でした。
至近距離恋愛
お互いに半径3メートル以内で仕事をしていて、付き合い始めて数ヶ月で結婚に至ったペアがいました。あまりのスピード感で、噂話になる前に結婚してしまったケースです。
オフィスの中では最低限のコミュニケーションしか交わしていませんでしたが、帰る方向が同じだったために、共有できた二人の時間が多かったようです。
気の合うことが確かめられたふたりは、一気に結婚ロードを走って行きました。
静かなオフィスではなかなか話す機会は少なくて、至近距離で過ごしていてもフラストレーションが溜まります。
そうした我慢の勤務時間が、アフターファイブでの開放感につながり、圧縮された空気が外に出るように会話も弾んだことでしょう。そのような忍耐と解放のギャップ効果で、短期間での結婚に行き着いたものと思われます。
この場合は、そもそも社内恋愛中の状況をリアルタイムで把握していた社員がいなかったので、結婚発表のときは、驚きと祝福の言葉があがったといいます。
しかし、その後、会社側は、ちょっとした事後処理に追われていました。
職場の隣同士の席での結婚は、本当におめでたいことなのですが、会社としては、「隣の席で夫婦同士が仕事をしている状況がよいのだろうか」と悩みます。
仲良くやれればいいじゃないか、とも思われます。しかし、会社というシステムは感情とは切り離した視点からも、業務の公平性という観点から対策を打とうとするのです。
実際には、同じ職場であっても、席を離すとか配置転換するということは、よく行われることです。
社内恋愛中の振る舞い方
以上のケースを見てもわかるように、まず不倫はダメです。
会社の人事評定には、「不倫はマイナス3点」とかの基準はなく、業務成績や能力評定によって処遇や給与が変わってきます。しかし、会社には「不文律」という曖昧な基準があり、これがけっこう幅を利かせて社内をコントロールしています。
各種規定の文面だけを形式的にあてはめていっても職場が回らない、ということを企業の経営者は知っているのでしょう。
次に、独身同士の社内恋愛ですが、こちらも結局は、「恋愛中は潜伏すべし」ということになってしまいます。会社という空間はどうしても保守的なところなので、感情などの情は排除したいという考えがまだまだ根強いのです。
企業としては、「理性」という一点で、すべてを回していきたいという建前があるので、ぷるぷるの感情に近いものは遠ざけられてしまうのだと思います。
従って、恋愛という不確実性が、結婚という確実性に変わるまでは、潜伏するしかないのです。
まとめ
社内恋愛では、不倫はNG、独身同士の恋愛でも、結婚という確実性が出てくるまでは、潜伏せざるを得ない、ということでした。
もちろん、社内恋愛して結婚したとしても、離婚してしまうというリスクもあるわけです。
しかし、社内結婚は、その意味でも、相当な覚悟を持って結婚したのだろうと推測されます。本人同士も同じ会社に勤めている間は別れることはできない(別れるつもりはないでしょうが)、と固い決意であるはずです。
会社は、どうしても理性の海で満たされており、感情の王様である恋愛に関しては、とても苦手な空間です。だから、社内恋愛はみんな潜伏しようとするし、バレないように工夫を凝らすのです。