会社の経営方針に納得いかない!と不満を持つあなたは意識高い系かも
職場の中でも、志の高い社員の中には、「今の会社の経営方針がなっていない!」と憤る人がいます。あまり会社の経営方針は気にせず働いている人が多いと思いますが(経営者にとってはそれは寂しいことかもしれませんが)、たまに経営方針に納得がいかなくて退職してしまう人もいるほどです。
会社の経営方針が気に入らなくて悩んでいる、という社員について、どのように考えたらよいのでしょうか。
会社の経営方針が気になる人の特徴
会社の経営者としては、自分の会社の経営方針をすみずみまで浸透させたいと考えています。しかし、職場の従業員は、あまり関心がないのが通常です。
それでは、どのような社員が経営方針を気にするのでしょうか。
社長室や経営企画部門など経営を補佐する立場の人
これからの1年間はこうした点に重点を置いて経営していく!と社長を始めとする経営陣が意思表示したものが経営方針です。この経営方針に基づいて、その年度においては、みんなでどのような仕事をしていくのか、という計画を立てます。
これを作成するのが社長室のスタッフであったり、経営企画部門で働く人です。
ですから、経営方針を作成する時期になると、頻繁に経営陣とコミュニケーションをとることになります。
こうしたプロセスの中で、「今回の経営方針は気に入らない」「今度の社長はいったい何考えているんだ!?」という感想を持つ社員がいます。自分の価値観と相容れない方針に対して納得していないわけですね。
まずいち早く不満を持つのは、このポジションにいる人たちです。
ただ、経営を補佐することが仕事なので、社長が示す方針について、積極的に違和感を感じる人もいないことも事実なのですが。
部長職や課長職など管理職の立場にある人
社長の指示を受けて作成された経営方針は、まず各部門の偉い人たちに公表されます。部長や課長ですね。
部長や課長は、経営方針に従って、自分の部署の仕事をどのように変えていくのか、とか、新しい仕事として、こうしたことをやっていかなくてはならない、とかを考える人でもあるので、ある程度、経営方針の説明を一生懸命に聴きます。
そうやって経営方針の内容を理解していく中で、「これはおかしい・・・」「俺は違うと思う…」と感じる人が出てくる場合があります。そうなってくると、その部下に対して経営方針を浸透させられないので深刻ですね。。。
濃ゆく情報にアクセスできる人が気にすることになります。
意識高い系の社員
経営方針は部長職などの管理職からメンバーに伝えられるのですが、伝言ゲームでもあるので、経営陣の熱量はここで結構冷めてしまっています。
そうした中で、なかなか経営陣の思うようなメッセージが伝えられていなくてメンバーの理解不足ということも生じてきます。
経営方針に無関心なメンバーがいるのもそのためです。
ただ、経営方針にも、「今年は売り上げを倍増させる」とか「コストダウンを図る」「新規事業の開拓」などいろいろあると思いますが、給料に関する方針には社員も敏感です。
コストダウンの方策の中に「社員の人件費削減」などの項目があれば、敏感に反応するでしょう。
「えっ、あたしたちのお給料減るの!?」っていう感じに。
こうした中では、「社員の人件費を減らす前にやることがあるでしょ!」と憤る社員もでてくるわけです。
「経営陣や部長の交際費から削減すれば良いのに。飲み食いしているだけじゃん!」
「うちの会社の規模であんなに立派な機械なんか購入して、もったいないよ」
「他にも無駄なこと、いっぱいやっているじゃん!!」
…と、その批判の矛先はとどまりません。
こうしたことが、愚痴レベルで済めば、まだマシなのですが、結構、深刻に受け止める社員も中に入るのです。
職場の中でも意識高い系の社員です。
経営方針に納得いかなくて退職した社員のケース
意識高い系の社員は、意識が高いのですから、会社の経営方針にも無関心ではいられず、その情報を元に、会社の将来に対してどのようなことが起きるのか、自分にとって、どのような影響があるのか、ということを気にします。
特に給料が下がるというような、社員の生活に直結するような方針が出された場合、経営方針には直接的に「給料が下がります」とは書いていなくても、その可能性が高いことを察知するのです。
そして、こうした会社で一生懸命に働くことに疑問を感じ始めます。
「このような方針を出す会社に、このまま所属していてよいのだろうか」
「もっと他にやるべきことが、あるはずなのに、安易に人件費をカットするというのは経営が努力していない証拠だ」
…などと、思いつめてしまうのです。
そして、これは実際にあった話なのですが、こうして会社の経営方針に疑問を持った若手の有望な社員が辞めてしまったケースがありました。
「辞めた理由は、経営方針に納得いかなかったからだ」ということは、周囲に対してはほとんど言っていなかったようです。しかし、ある平日の夜に私のデスクを一人で訪ねてきてくれた彼は、辞めた真意をそう話してくれました。
経営方針は絶対ではない。すぐに変化する
経営方針に納得いかなくて思い悩んでしまった場合にはどうしたら良いのでしょうか。
経営方針を理由に辞めた社員はとても真面目な人でした。だから、自分の価値観に合わない会社で働くことに違和感を必要以上に感じてしまったのだと思います。
しかし、経営方針といえども、その時に就任している経営陣によって変わるものですし、特に人件費カットいう刺激的な施策でもあっても、一般社員の給料に対するインパクトはそれほど大きなものにならないことが通常です。
そして、経営方針に納得いかなくても、その年度での仕事を通じて是正のメッセージを経営陣に送ることは可能なのです。
社員のほとんどは「今度の経営方針は納得いかないけれど、まぁ、サラリーマンだから上には逆らえないしな。今ある仕事をやるだけだよ」と、淡々としています。それに対し、退職してしまうほど思い悩んでしまうというのは、本当に会社全体を考えるような真面目な社員だといえますが、あまりにも自分の価値観を過大に重要視してしまっているともいえます。
経営方針に納得いかないのが、それを作っている経営陣のメンバー、つまり専務や常務などの重役であれば、「辞任する!」ということで、経営方針に異議を唱えるということはありえることです。
しかし、一般社員が経営方針に悩んでもしかたがない、というよりか、それを是正する手立ては他にあるのです。
仕事を通じて自分の価値観を反映させるとか、上司に相談するとか、経営層とコミュニケーションをとる場があるのであれば、そこで発言するなど、手段はいろいろあります。
労働組合が組織されている会社であれば、その幹部を通じて経営陣に働きかけることもできるのです。
経営方針のみならず、会社で働いていれば、いろいろと納得のいかないことが多いでしょう。
そうした中で、どのような手段を取ることができるのか。
まずは、そうしたことに目を向けることが必要なのです。
最後に
今回は、「経営方針に納得いかない」という特殊な理由で辞めてしまった社員が過去にいたので、それを思い出しながら書いてみました。
真面目でよく考えている社員ほど、かなり思いつめてしまったりするものです。
経営方針に納得いかないと憤る気持ちは、会社の将来に対する不安の裏返しでもあります。
経営方針はある意味、絶対的な経営の命令とも読めますが、一方で、年度の途中でも経営環境が変われば、修正されることもあるような流動的なものです。
今は、時代が恐ろしく早く進んでおり、昨年度までは考えてみなかったことに遭遇したりと変化が早いのです。
こうした大義から思い悩んでしまう人にとっては、一呼吸置いて「自分は会社全体のことをイメージしてしまうがために、こうして真剣に思いつめてしまう傾向にあるのだ」と引いて俯瞰してみるといいです。
そうしたことで、もっと最良の手段が思い浮かんできます。