職場で息苦しさを感じる女性が無理なく解放されるたった一つの方法とは
職場では、それぞれが「居心地の良さ」を求めて人間関係を悪化させないように努力しています。毎日、1日のほとんどの時間を過ごすわけですから、その時間が苦痛であっては困るわけです。
だから、波風を立てないように、刺激的な発言は控えて、なるべく円満に過ごせるように気を配ります。しかし、その気配りが、とても苦しく感じることがあるのです。
からかわれて傷ついても作り笑いでその場をしのいでいる
ある会社の女性社員で、こんな方がいました。
その女性社員は、細かいことにも気がついて、身の回りも整理整頓がゆき届き、周囲の社員からも信頼の厚い方でした。持ち前の明るさや穏やかな性格も好かれる理由の一つでした。
そういう彼女ですから、男性社員から、からかわれたり、セクハラとまではいかなくても冗談を飛ばされたりしても、ニコニコ穏やかにしていました。
しかし、だからこそ、周囲の社員もあまり彼女に対しては気を使うことがなくなります。
「やっぱ、淹れてくれるお茶も美味しいし、さすがに良家のお嬢さんは違うよなぁ!」
「俺はアンタみたいに頭良くないから、こうしてミスっちゃんだよねっ!」
…なんて軽口を言われても、いつも穏やかでいます。言った男性社員からすれば、特に悪気のあるような発言でもありません。
でも、こういう細かいことが日々繰り返されて、表面的には穏やかでいても、本当の自分はかなり疲弊していたのです。
穏やかな表情、嫌味のない笑顔は、彼女にとっての自分を守るための仮面なのでした。
本当の自分を隠して演じる職場
職場では、「穏やかで気さくな社員」という人物像を演じることで、各方面に「私はあなたのことは嫌いではないよ」という雰囲気を振りまいていました。要するに人間関係を悪くしないように努力していたわけです。
しかし、それは、「穏やかで気さくな社員」という仮面をかぶって演じているだけで、本音では、
「また、からかいに来た。イヤだな」
とか、
「あの人とあんまり話したくないけれど、なんとか取り繕ってこの場を乗り越えなければ…」
なんて思いながら、その場をしのいでいました。
自分にとって建前でも「居心地の良いように見える場所」を確保するための精一杯の努力でした。
「こうやって我慢することが職場なんだ、、、お給料をくれるところだし、頑張らないと。」
と感じていたのです。
「何を言っても大丈夫なはず」と思われている
当然、周囲の社員は、彼女のそんな本音は知りませんから、軽口を叩いたり、えげつない冗談を言ったりして、毎日を過ごすわけです。
彼らにとっては軽いストレス解消のひと時だったりするのかもしれません。
ところが、女性社員にとっては、穏やかな仮面の裏で、しんどい時間を過ごしているのです。本音と表情のギャップが大きければ大きいほど、ストレスも増大していきます。
しかし、職場自体は変わらないわけですから、彼女にとって状況は改善することはありません。昨日と同じ状況が今日も続くだけです。
周囲の社員は、彼女に対して「何を言っても大丈夫な人」というレッテルを無意識のうちに貼ることになります。実際、表面的にはそうなのですから、誰も疑問を持つ社員はいません。
でも、彼女はその逃れられない苦痛に今日も直面しているのです。
仮面の上に仮面を重ねる女性たち
それでは、仕事が終わって家に帰れば「穏やかで気さくな社員」という仮面は、脱ぐことができるのでしょうか?
一人暮らしだったり、住み慣れた実家から会社に通っている人にしてみれば、自宅が素顔でいられる憩いの場かもしれません。
しかし、彼女の場合には、結婚してお嫁さんとして旦那さんの実家に嫁いでおり、姑と一緒に暮らしているため、そこでも良妻賢母の仮面を被らなくてはなりませんでした。
「穏やかで気さくな社員」という仮面の上に「良妻賢母」という仮面をかぶるのです。
仮面の上に仮面を重ね、もはや「自分の素顔」が、いったいどんな顔をしているのかすら、おぼろげになってきます。
「いったい、本当にワタシって、どんな顔をしていたんだっけ・・・」
そんなふうに悩む日々を過ごします。
でも、どうにもならないのです。
職場も、、、家も、、、「自分」の居るところが、ない…。
いったい、どうすればよいのでしょうか。。。
がんじがらめの状況突破は脱獄で!
職場も仮面、お家でも仮面。
休みの日に外出すると言ったって、旦那さんや姑から「どこへ行くの?」といちいち聞かれる始末。
まるでがんじがらめのような状況ですが、突破できる方法があります。
それは「脱獄」です。
実際の日本の刑務所は厳重な警備体制が敷かれていますが、ふつうの人は牢屋の中にいるわけではないので、本来は自由に動けるはずなのです。
でも、その牢屋のような役割をしているのは、自らの固定観念や意識です。要するに「エア牢屋」を自分の周りに作って自分を閉じ込めているわけです。
有名な「小象」のお話があります。
小さい像は、小枝に繋がれていると、大きな大人になっても、その小枝を引きちぎって自由に歩くことを諦めてしまうそうです。自分に大いなるパワーがあるとも知らずに。
「コップに入れたノミ」の話も聞いたことがあるかもしれません。
コップの中に小さな虫のノミを入れてガラス板でふたをすると、ノミがジャンプするごとにガラスの壁に当たって、外に出ることができません。これはいくら飛んでもガラスに当たるから、ノミにとっては大変な衝撃です。
やがて、ノミは、いくら飛んでもコップの外に出られないことを悟ります。
そして、蓋をしていたガラス板を除いても、ノミはコップの高さを超えてジャンプすることはせずに、ずっとコップの中で過ごすのです。
まさに、自分で「エア牢屋」を作っているわけです。
月に1回、脱獄しよう
さて、職場でもお家でも仮面をかぶり続けている女性社員は、どうしたらよいのでしょうか。
まずは、かなりの部分で「エア牢屋」にいることを自覚する必要があります。
とはいえ、この「エア牢屋」は強力な見えない壁なので、「さぁ、破ろう」と言っても、まるで本物の刑務所の囚人のように怯えてしまうのです。
エア牢屋の中は苦痛であっても、それでも、なんとか毎日をやり過ごせてしまうからです。
しかし、苦痛であることには変わりありません。では、どのようにするか、です。
月に1回、脱獄するのです。
家での監視が厳しいのであれば、「友達との約束がある」とか、「月に1回お稽古事を始めたい」ということで、外出する理由を作ります。
実際に、1〜2時間のお稽古ごとであれば、定期的に脱出できるので最適です。お稽古事の時間が終わった後は、映画を見たりショッピングをしたり、自分の自由な時間を過ごすのです。
周囲には誰も知っている人がいない空間なので、好きなように振る舞うことができます。
こうして、月に1回、仮面を脱げる場所に行って、実際の素顔を確認します。一度、そうした体験をして脱獄に成功すれば、あとは横展開をして行くのです。
つまり、月に1度を2度にする、などです。
こうして、素顔でいる時間をのばしていきます。
これが今まで理性で抑えていた大脳が、本能優位となってストレス解消に向かうのです。
こうしてエア牢屋に小さな穴を開けていき、やがて見えない壁が、本当に消えて無くなるのを待ちます。
仮面をかぶり続けている職場やお家での態度にも変化を生じさせることができるでしょう。
小さな一歩とはそういうことです。素顔でいられる空間へ、まずはエア牢屋からプチ脱獄をしていきましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
仮面に仮面を重ねて苦しんでいる人はかなり多いと思います。
私も仮面をかぶり続ける社員であったので、年に何回かは、一人旅に出て、旅先で好き勝手な行動をして本能を解放していました。
自分で作ってしまったエア牢屋は、はやり自分で打ち破るしかないのです。これはけっこう厳しい状況です。
いきなり革命的に状況を改善することは普通の人は難しいと思います。「やれば、できる!」と叫んであげても、やはり臆病な人は臆病なのです。
でも、臆病であれば、慎重に小さく脱出することは可能でしょう。
職場で、家で、仮面をかぶり続けないと不安だという気持ちもよくわかります。だから、仮面をかぶり続けてもいいから、ほんの少しでも、自分の素顔をそよ風にさらす時間を確保する知恵が必要なのです。
今日、あなたの素顔は、どんな顔をしていますか。