昭和の時代からずっと会社員はサブスクだった/企業側から見た従業員
世の中、サブスクリプションが大流行りですが、実は「会社員もサブスクリプション」と言われます。しかも会社員が誕生した時からサブスクなのです。
どうして会社員はサブスクなのでしょうか。
サブスクリプションとは
最近、「サブスクリプション(サブスク)」という言葉をよく聞きます。
これは、毎月一定の金額を支払うことによって、継続してサービスを受けることのできる仕組みのことを指すことが多いと思います。継続課金、定額課金と呼ばれるものです。
周囲を見渡せば、アマゾンプライムとかApple MusicやSpotifyなどがサブスクリプションですね。
毎月定額サービスの携帯電話料金やインターネット接続料金もサブスクです。
以前は、パッケージとして販売していたマイクロソフトのエクセルやワードも一部の製品でサブスクに移行しましたし、Adobeシステムのフォトショップやイラストレーターは、ほぼ完全に毎月利用料がかかるサブスクリプションに移行してしまいました。
(私は今だにパッケージ時代のフォトショップを使っていますが・・・)
こうしてみると、時代の流れなのか、高い値段のものをドカンと最初に買うのではなく、毎月少しずつ支払っていくサブスクが主流になりつつあると思います。
そんな中、会社員って、実は昭和の時代から最先端のサブスクだった、のかもしれません。
会社員がサブスクってどういうこと?
会社員は、経営側から見れば毎月定額の給料で働かせることができるわけです。これが会社員がサブスクリプションである所以です。
会社員は、ほぼ毎月一定の給与で働いています。会社側から見れば、定額課金の使い放題な存在が会社員なわけです。
そこでは、会社に対するサービスが良い社員もいれば、イマイチな社員もいるでしょう。
会社としては、人件費が定額だからこそ、もっと活用しなければと考えるわけです。
効率化や合理化、業務改善なんていうのも、その表れです。
経営側から見れば、一定額の給与に対してなるべく働いて欲しい。従業員から見れば、ほぼ同じ給与が毎月振り込まれるわけだから、なるべく働かずに過ごしたい。そんな両者のせめぎ合いです。
とにかく社員は毎月継続課金の労働力なので、会社側はなんとかして高品質なサービスを引き出そうとするわけです。
人事評価制度や昇級、ボーナス査定という仕組み面のことから、叱咤激励や誉め殺し、はたまた体育会系のパワープレイなど、メンタル面からも攻めてきます。
「自分はサブスプリクションの中に組み込まれている」とは知らずに、会社員生活をしている人がなんと多いことか!
給与が高くなると新入社員にシフト
経営側としては、定額での働きが悪くなれば、働きの良いサービスに乗り換えたくなるのが心情ではないでしょうか。
そこで、早期退職制度などが活用されるわけです。給与が高くなって、会社に対するサービスも飛躍的によくなればいいのですが、40歳後半からは、さらにパフォーマンスを上げることのできる人は限られています。
そうした中で、経営側としては、もっと安くて、もっとサービスをしてくれそうなサブスク社員に乗り換えたくなるわけです。
こうした傾向は、余剰人員を抱える大企業にますます多くなってくるでしょう。
すでにサブスク社員となっている派遣社員にシフト
ただでさえ、会社員はサブスクなのに、さらに徹底してサブスクなのは派遣社員やパート従業員です。時代の流れとともに、正規雇用から非正規雇用にシフトしていったのも、経営側が同じ労働ならより安い定額サービスを追い求めた結果と見てもよいでしょう。
正社員と同じような仕事をしていても、安い定額サービスである派遣社員の割合が大きくなることによって、同じ業務でも賃金の格差が生まれます。
今までは年配と若年者の賃金格差しかなかったわけですが、他の雇用形態との比較になってきたのです。それが「同一労働同一賃金」の問題です。
ほとんどの企業では、この「同一労働同一賃金」の原則は守られていないでしょう。日本型の経営がそのようになっていなかったわけですし、「同じ仕事なら安い人件費で!」と、安いサブスクリプションを追い求めていった結果、格差が生まれたわけですから。
サブスクリプションをめぐる状況は社内だけにとどまらない形になってきています。
そもそも、サブスクとして存在している会社員は、これから、いったいどうすれば良いのでしょうか。
サブスクの中で生きるには
働き方改革といって、残業時間を減らしたり、ワークライフバランスを取り戻そう、という取り組みも盛んになってきています。
同じ給与なら、なるべく楽に仕事をしたい。そんなサブスク社員の巻き返しが始まっているかのようです。
とはいえ、そんな世間の風潮をよそに、「うちの会社は、そんなのあんまり関係ないよな・・・」という雰囲気が漂っている職場も多いかもしれません。
毎月定額の給与を受け取っているという本質が変わらない限り、会社員はサブスクリプションの呪縛からは逃れられないのです。
そんな中、目指すべきポジションは次の2つです。
良いサービスを提供できる社員であることを示す
「給与<仕事」をスタイルとして貫く、ということです。
これは、経営側にとって「ずっと継続課金し続けたい!」と思わせるサービス(仕事)を提供し続けることです。会社に対する忠誠心も必要でしょう。
こうすることによって、経営側も高品質なサービスを享受しようと大事にしてくれるはずです。
仕事も忙しくなり、働き方改革に反して残業も増えてしまうかもしれません。それでも、ちょっとずつですが、定額料金が時間差で増えていきます。
会社との関係も強くなり、将来に対する安定度も増してくることでしょう。
問題は、会社側のほうに多くの利益が行ってしまうことです。従業員が出しているパワーに対して、物足りなさを感じると思いますが、将来的な安定感を重視するなら、高品質なサブスク社員を目指すことも悪くはありません。
サブスク社員としての利益を享受する
「給与>仕事」として自分の仕事を最小限にすることで、「毎月一定額はもらえるのだから」と自分の利益を最大化する作戦を取ることもできます。
たとえば、残業を極力避ける、仕事が降ってこないように、自分の業務だけに固執する。そんなふうに自己防衛して仕事量を最小化していくのです。
経営側にとっては重要度が低い存在になってしまうかもしれませんが、従業員は労働法で守られているので、すぐにリストラされるようなことはありません。
「会社員はサブスクだ」と考えていれば、会社に使われすぎないように意識していくことはできるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
サブスクリプションとは、継続課金、定額課金で物品やサービスを受けることのできる仕組みでした。定額使い放題、ですね。
企業側からみれば、会社員もサブスクなのです。だから、なるべく定額使い放題にしたいと考えるのは普通です。
でも、そのような仕組みを選んだのも私たち会社員でもあるのです。定額使い放題されてはいるけれど、その仕組みの中にいることが、「なんとなく安心」なのだと思います。
- 会社にとって良いサービスを提供できる人材になる
- 最小限の仕事をして自己防衛する
どちらのスタイルを取るのも、あなたがどのような価値観を持っているかによります。
私が選択したのは「会社にとって良いサービスを提供できる人材になる」ほうでした。これを続けていると、結構しんどいですし、不平不満もたまってきます。
でも、それじゃぁ、楽チンすればいいではないか、と言われても、それはなかなかできないのです。性格というか、価値観というか、やはりそこは自分の性質やモラルに寄り添うしかないと考えています。
最終的に心地よいポジションを取る、ということです。
サブスクの仕組みの中にいるのが、本当に嫌になったら、それは会社を出る時なのです。