仕事を辞めたくても会社に残るべき5つのケース
もう仕事を辞めたい…でも、辞めるのももったいないような気がする…
このようなとき、どう判断したら良いのでしょうか。
会社で仕事をする時間というのは、人生の中でも大半を占める内容なので、そう簡単には決められないでしょう。人生でもかなり重要な問題です。
平成27年の雇用動向調査結果(厚生労働省)によると、離職率は15%となっています。
つまり1年間で仕事を辞めた人が15%もいるということです。ちなみに、年齢別にみてみると、若い人ほど離職する人は多く、19歳以下では40.9%も離職しており、ついで20〜24歳が24.9%となっています。
実際に辞めた人がこれだけいるわけですから、「会社辞めたい…」と思っている人は、もっといるはずです。
ちなみに、新社会人になった人を対象にした調査では、32%の人が「入社後、会社を辞めたいと思ったことがある」と答えています。(2014年 新社会人の意識調査:マクロミル)
さて、「会社を辞めたい!」と感じた時に、実際に会社を辞めてしまうべきか、残るべきか、どのように考えたらよいのでしょうか。
会社に残るべきケース
まず会社に残るべきケースを考えてみます。次のような状況のときは、少し我慢して今の会社でお世話になるほうがよいでしょう。
退職したいという気持ちが愚痴レベルのとき
会社で嫌なことがあると、つい「もう辞めたい」と感じてしまうものです。それが理不尽なことであればなおさらです。でも、瞬間的に「辞めたい」と感じたことは、単に「嫌な出来事に遭遇した」ということと同じ場合が多いのです。
そのような気持ちになることは、会社員でいる限り、年に何度もあると思います。やはり、会社にはいろいろな人間がいるので、さまざまな人間関係の軋轢もあるでしょうし、自分の思い通りにならないこともあるでしょう。
これはあなただけではなく、他の人も感じていることです。
こうしたことで、例えば、他の会社に転職したとしても、同じことが起こり得るので、いちいち会社を辞めていてはキリないです。
あなたの「辞めたい」が愚痴レベルであるのなら、美味しいものを食べたり、ショッピングしたり、旅行に行ったりして、ストレスを解消することで「辞めたい」という気持ちとうまく付き合うことです。
やりたいことが全く白紙のとき
「会社を辞めたいけれど、自分が何をしたいのかわからない…」という場合も要注意です。
あなたが、いま辛い状態から抜け出したいのはわかりますが、抜け出した後に、どうするのか決まっていなければ、次のステージが見つからずに漂流してしまうことになります。
やりたいことが具体的にありありとイメージできるくらいに明確ならよいですが、まったく白紙の場合には、会社を辞めた後のリスクが大きくなってしまいます。
ここのリスクは、辞めた後にどのように自分が行動して良いのかわからなくて停滞してしまうことです。
よって、せめて「やりたいこと」の方向性くらいは見えていないと、会社を辞めた後に、いきなり余裕がなくなってしまいます。
「辞めたいけれど、自分がしたいことがわからない」と悩んでいる場合には、あなた自身と向き合って、自分が本当にしたいことはなんなのか、ということを真剣に考えるべきです。
それがだんだんと明確になってきた時に、それでも「辞めたい」と強く思っているならば、会社の辞めどきが迫ってきているのかもしれません。
会社を辞めることが不安で仕方ないとき
自分に自信がない時、会社を辞めた後に、果たしてちゃんと生活していけるのだろうか…と不安でしょうがない場合には、まだ辞めどきではありません。
誰もが会社を辞めるときには、不安がつきものです。しかし、不安で頭がいっぱいの時は、自分自身に武器がなく丸腰でいる状態です。
せめて少しでも安心できる材料がないのであれば、辞めた後の精神的負荷は相当なものです。
不安よりも将来に対する期待が大きくなる、とか、不安よりも今の職場の苦痛のほうが耐え難い、というように、不安よりも大きな感情が芽生えるまでは、辞めた後に必ず後悔することになります。
会社を辞めることが不安で仕方がない時は、今の会社に残ることを優先的に考えましょう。
職場で学ぶことがまだある、と感じているとき
今の会社でまだ学ぶことがあるんじゃないか、と考えている時も、辞めどきではありません。
「まだ学べることがある」と思っているうちは、今の会社にかなり未練が残っているということです。
そして、「まだ学べる」という気持ちこそ、非常に高い価値があります。
社会人として、とか、仕事のやり方とか、会社では学べることがたくさんあります。
社会人としての人付き合いとか、組織の中での立ち振る舞いとか、いろいろな仕事のやり方も、会社で学べるものはたくさんあるのです。こうした気持ちを持っているうちは、今の会社に残るべきです。
「もう学べるものはない!」と感じたら、そのときに辞めることを考えれば良いのですから。
貯金が100万円未満のとき
現実的なお金の話をします。
会社を辞める、となったときに、真っ先に心配するのはお金のことでしょう。退職するということは、今まで定期的に銀行口座に振り込まれていた給料が振り込まれなくなることを意味します。
会社を退職する時に、銀行口座に100万円以上の残高があるでしょうか。もしくは、何年か勤続年数があるのであれば、退職金がもらえるかもしれません。その退職金を足すと100万円以上になりますか。
100万円というのはひとつの目安です。
依願退職の場合には、失業保険を申請して実際に自分の口座に振り込まれるまでに約4ヶ月間かかります。
その期間を手持ちの資金で食いつないでいく必要があります。
家賃や光熱費など、もろもろの生活費を考えて、ざっくり1ヶ月20万円。失業保険がもらえるまでの4ヶ月間で、20万円×4ヶ月=80万円は確実に出ていってしまいます。貯金100万円のうち、残り20万円は思わぬ出費や精神的な安定を維持するための予備です。
先立つお金が手元にない場合には、とても心細い思いをします。
転職先がすでに決まっているとか、収入の目処が退職前に立っている、ということではない場合には、少なくとも100万円の貯金ができるまで退職は我慢したほうがよいです。
まずは100万円をためることを優先しましょう。
思い切って退職すべきケース
会社員でしかも正社員であるならば、まずは「会社に残る」ことを最初に考えるべきです。しかし、次のようなケースの場合には、具体的に仕事を辞めることを考えたほうが良いでしょう。
ブラック企業だということに気づいたとき
あなたの所属している会社がブラック企業だと認識したときには、すぐに脱出を考えるべきです。明らかに定年まで勤め上げるということが不可能であることが明白です。
ただ、本当にブラック企業であるならば、入社して1年程度の日の浅い時点で気づくでしょうから、貯金もほどんどない状態で退職を考えなくてはならないと思います。
ブラック企業だと感じたときには、とにかく早くその場から脱することが優先なので、最初に転職先を確保しておくことです。やりたいこととかいろいろと考える前に、「条件の良い会社」を転職サイトやハローワークなどを駆使して探し、次の職場を確保することが優先となります。
場合によっては、派遣社員やアルバイトといった非正規雇用であっても致し方ないと思います。
ブラック企業の場合に心配されることは、あなたの心身を蝕んでいくということです。
脱出が早ければ早いほど、その傷は浅くて済むのです。
「もうやってられない!」という気持ちが不安を上回ったとき
退職を考えた時には、とても不安な気持ちになります。本当に大丈夫なのだろうか、と心配になるのです。
しかし、こうした不安や心配を上回るくらいに「仕事を辞めたい」という気持ちになったのであれば、それは具体的に退職を考えるタイミングです。
ふつうは現在の会社員の立場を守りたいものです。現状維持が気持ちとしては安心するからです。
それでも、その現状維持を打破したいという気持ちがむくむくと湧き上がって来たわけですから、ある意味、具体的な行動に移すエネルギーがあなたにはある、ということになります。
通常は、なかなか不安に打ち勝つことは難しいものです。しかし、それを上回ったのであれば、エネルギーが充填されている証拠。新たなステージに向けて1歩踏み出すタイミングです。
やりたいことが明確になったとき
あなたの「やりたいこと」が明確になったときにも、すでに、「やりたいことをしている自分」にフォーカスしていることでしょう。こうなったら、やりたいことに向かって、情報収集したり、勉強したりして、勝手に身体が動く状態になるはずです。
やりたいことをやらない、という「やらなかった後悔」というのは「やってみた後悔」よりも圧倒的に後悔の度合いが強いとされています。
やりたいことがあって今の会社を辞める、というのは、いちばん理想的な形です。
「やりたいこと」が見つかったときとほど、幸せなことはありません。ぜひ、やりたいことを実現するために行動しましょう。
まとめ
仕事を辞めたい、と感じた時には、「退職したいと思っている自分」がどのような状況になっているのかを客観的に観察することが大切です。
今の会社に残るべきケース:
- 「辞めたい」が愚痴レベルのとき
- やりたいことが全く白紙のとき
- 退職の不安が大きいとき
- 職場で学ぶことが残っていると感じたとき
- 退職金を合わせても貯金が100万円未満のとき
思い切って退職すべきケース:
- ブラック企業だったとき
- やってられない!という気持ちが不安を上回ったとき
- やりたいことが明確になったとき
会社を辞めるというのは、人生でも大きな決断です。自分自身の状況をよく観察して、最適な判断をしたいものです。