会社で昇進して管理職になったのに自信がないときの対処法
会社の中で、課長や部長などの管理職に昇進した場合、おめでたいことですし、本人も嬉しいと感じるのが普通だと思います。会社組織では、役職がつくことや、それに伴って給与が上がることが具体的な目標になるからです。
反面、管理職として、これから待ち受けている現実を思い浮かべると、とても不安になったり、焦ってしまう人もいるかもしれません。
昇進したことによって、ものすごいプレッシャーを感じたり、そもそも昇進を望んでいなかったのに、思いがけず昇進してしまった時の焦りをどのように解消したら良いのでしょうか。
まずは、昇進した場合のメリットをデメリットを知っておきましょう。多くの人が昇進を「おめでたい」と感じるのは、課長や部長になった時のメリットが大きいと信じているからです。
昇進した場合のメリット
昇進した時に感じるメリットはだいたい次のことが多いようです。こうしたことを手に入れるために昇進しようと頑張っているのではないでしょうか。
- 給与が上がる
- 役職がついてステータスがアップする
- 仕事の裁量が広がる
- 会社に対する発言力が増す
- 部下を持つことができる
給与が上がる
まず、「給与が上がる」ということを考えてみましょう。一般的に会社員の最大のモチベーションは給料と言われています。会社に拘束されている時間は新入社員の時から変わっていないので、その中でいかに自分の時間単価を上げていくのか、ということが、金銭的な豊かさを手に入れるために考えることだからです。
給与が上がる、ということは、同じ時間を会社の中で過ごしていても、もらえる給料の金額が多くなるわけですから、効率よくお金を稼ぐことになるわけです。
もちろん、役職がつくことよって、部下の管理や教育をしたりという新たな仕事も増えますが、今までやっていた仕事から解放される側面もあります。部下に任せられる仕事は手放すことができるというのも、少ない仕事量で大きな金額を稼ぐことができる、という点ではメリットでしょう。
役職によりステータスが上がる
会社はピラミッド型の階層組織になっています。上の階層へいくにつれてより「偉い人」と認識されるようになります。人間性などの人格は差し置いて、とりあえず会社の中では、上の階層の人がエライ人になるのです。
そうした地位を獲得することによって、ひとつの目標が達成され、自尊心が満たされます。特に地位や名誉に重きをおく人は、この役職がとても魅力的に感じるでしょう。
仕事の裁量が広がる
役職が上がるということは、それだけ自分だけで決めることのできる範囲が広がることを意味します。よって、役職がなかった時に比べて、仕事の進め方やスケジュール調整など他人に合わせる必要性が少なくなります。
会社に対する発言力が増す
昇進して役職がつくと、重要な会議や打ち合わせに出ることも多くなり、会社の上層部ともコミュニケーションの機会が増えていきます。そこで、より決定権を持っている上司に対して、自分の意見を直接届けることができるようになります。
部下を持つことができる
上司と呼ばれる立場になると、部下を持つことができます。これは、自分がやりたい仕事の協力者を自動的に得たことになります。部下を持つと、まるで自分の分身が何人かできたような気になる人もいます。自分一人ではできなかったことが部下の協力を得ることによって、今度はできるようになるのです。
昇進のデメリット
それでは、昇進にはデメリットはないのでしょうか。役職がつくメリットは多いとしても、やはりデメリットもあります。このデメリットがあるせいで、自信を無くしてしまう人が出てくるのです。
- 責任が生じる
- 常に判断を求められる
- 気を使う
- 部下の面倒をみなければならない
責任が生じる
役職がつけば、それなりの責任が生じてきます。自分で決めることのできる仕事の範囲は広がりますが、自分が決めることができるからこそ、決めたことに対する結果も問われるわけです。
また、自分が決めたことではなくても、例えば、部下のミスににより会社に損害を与えた場合についても、上司である自分が責任を追わなくてならない場面が出てきます。社内でも社長や上層部、社外においても顧客やクライアントに怒られたり謝罪しなければならないことが多くあるでしょう。こうしたことに消耗してしまう人も多いのです。
常に判断を求められる
仕事ではいつも単純なことばかりではありません。結果がはっきり見通せない時でも、上司である自分が判断せざるを得ないことがあります。それは、部下からの相談においても、判断を下さなければならないことも多いでしょう。
そのため、上司は部下の仕事についてもある程度熟知しておかなかければなりません。つまり、自分の仕事以外でも勉強しなければならないのです。
そうした積み重ねが判断の質に影響してきます。こうしたことが「大変だ・・・」と感じる人が多いようです。
部下や周囲に気を使う
部下や周囲に対しても、自分は役職者として立ち振る舞いや言動などに気を使うようになります。一応、会社の中では「偉い人」の仲間入りをしたわけですから、「仕事を知らない」とか「人格的に難あり」とか「人を育成できない」などと思われないように行動しなければならないというプレッシャーがあります。
こうしたことが、かえって自分を苦しくしてしまうのです。特に繊細な人や真面目な人は、こうした「気を使う」ことに対して「気疲れ」してしまう人もいると思います。
部下の面倒をみなければならない
「部下を持つことができる」というメリットと裏腹ですが、自分にとって都合のよい部下だけではありません。いうことを聞かない部下もいると思いますし、仕事ができずにいつも尻拭いをしなければならない部下もいるかもしれません。そうした部下との人間関係に疲れてしまうこともあるのです。
また、部下との人間関係が良好だとしても、例えば、人事評価などでは不満が出ないように気を配らないといけませんし、たまに息抜きということで飲み会を開催することもあるでしょう。今まで気にしなくてもよい人間関係が突如として発生するのです。こうしたことをデメリットと考える人もいるようです。
昇進して自信がなくなってしまった時には
せっかく役職についたのに、自信がなくなってしまう人は、デメリットに目が向いてしまう人です。
責任は出て来るし、部下の面倒は大変そうだし、いろいろ気を使うし・・・ということで滅入ってしまうのです。
それでは、どのようにすれば、せっかく昇進した機会をハッピーにできるのでしょうか。
「完璧な上司などいない」ことを知る
あなたも、今までに何人もの上司と仕事をしてきたことと思います。その中にはフィットした上司もいれば、気が合わなかった人もいるでしょう。
要するに、完璧な上司ばかりではなかった、ということです。
そのことは、そのままあなたにも当てはまります。
部下よりも仕事のことがわからないこともあるでしょう。部下や他部門から相談を受けて適切な判断をすることができないかもしれません。
しかし、他の役職者であっても完璧ではないのです。判断を誤ることもありますし、部下や若手の従業員よりも知らない仕事もあるかもしれません。
しかし、役職者も完璧ではないからこそ、フォローしあえる組織で会社は運営されているのです。完璧であれば、いちいち組織なんかなくても仕事は回ります。
だから、「他の人だって完璧ではないのだ」と知りましょう。そして、実際に今いる役職者も、過去にいた偉い人たちも実は完璧ではないのです。
「役職者である以上、完璧でなければならない」と思うから苦しくなるのです。
「自分以外の役職者は優秀そうに見えるかもしれないけれど完璧ではない」
ことのことを思い出すようにしましょう。自分の中に設定していたハードルが、フッと下がってきます。
自分よりも上の上司に助けを求める
仕事上では日々さまざまな問題が起きますし、時には本当に困ってしまうような事態に遭遇することもあるかもしれません。
そのような時には、自分ひとりで抱え込まずに、誰かに助けを求めるべきです。
昇進して自信がなくなってしまう背景には、仲間という集団から頭一つ抜け出したために、孤独なイメージを強く持ってしまうことがあります。
「自分は役職者なのだから、自分のところでなんとかしないと」と思うと苦しくなってしまうのです。
あなたが社長でなければ、あなたよりも上位の役職者はいるはずです。それは部長かもしれませんし、経営層の人かもしれません。
そうした人のところへ助けを求めるのです。
上層部に助けを求めるのが厳しいと感じるのであれば、自分と同じレベルの他の役職者に相談しても良いでしょう。とにかく一人で抱え込まないことです。
「自分は一人ではない」ということをあらかじめ知っていれば、「命綱はちゃんとあるから大丈夫だ」ということになるのです。
成長の機会と捉える
昇進して役職者になった時は、これから始める仕事や役割としての振る舞いに、いろいろと不安もあると思います。
しかし、昇進したばかりの時は、役職者としては新人なのですから、そこから理想とする上司像に、近づけていけばいいのです。
そして、そのギャップを埋めていく過程を成長と言うのです。
昇進して、確かに不安だし自信もない。でも、今までには得られなかった成長のプロセスだと捉えて受け入れることです。
幸い、今までみてきたように、会社は組織として動いているため、セイフティネットが何重にも敷かれています。だから、失敗しても、うまくいかなくても、大丈夫なのです。
成長のプロセスを楽しむようにしましょう。