会社員でも別のキャラクターを持つべき2つの理由/パラレルキャリアの始め方
最近は、働き方改革と言って、多様な働き方た提唱されてきています。
仕事の生産性を上げたり、労働時間を短くしたりして、表向きは過度の労働から従業員を解放しよう、というものです。会社によっては、副業を解禁するところも出てきたようです。
しかし、現実的には、
「ふつうに会社で働いているだけでは、いずれ満足のいく給料を獲得できないので各自でなんとかしてほしい」
…という本音が見え隠れてしています。
しかし、会社員が「各自でなんとかする」という方法が実際にはあるのでしょうか。
そんななか、最近注目されているワークスタイルが「パラレルキャリア」です。
パラレルキャリアとは
パラレルキャリアとは、本業とは別にもうひとつの自分のキャリアを持つことです。
もともとは、経営学者のピーター・ドラッカーが「明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命」という著書で提唱した理論で、「現在の仕事以外の仕事を持ちましょう。お金を稼ぐことを目的としない活動をやってみましょう」と提案しています。
たとえば、本業は会社員をやっているけれど、それ以外にカメラマンとしての顔を持つ、ということです。
パラレルキャリアと副業との違い
会社員の他に仕事を持つって、これは副業とどう違うの…という疑問もあるかもしれません。
しかし、パラレルキャリアとは、必ずしも金銭を稼ぐことに主眼を置くのではなく、自分の趣味やスキルを活かして、自分の人生を豊かにするために、自分らしいキャリアを持つ、ということです。
ある意味、会社で飽き足らない部分を、もうひとつのキャリアで満足させるという意味もあるでしょう。
パラレルキャリアのメリット
ただ、今では、もっと積極的に本業だけのキャラクターではなく、他のキャラクターを持つことによって、自分の人生の幅が広がるというプラス面が強調されています。
また、本業以外の活動が本業にもよい影響を与えることもあります。
休日にカメラの知識やスキルを活かして、写真サークルの運営などの活動をしていれば、そこに集まる人々との交流や他人に何かを教えるという充実感を味わうこともできるでしょう。
それに、知人の結婚式にカメラマンとして呼ばれれば、ご祝儀としてちょっとした臨時収入があるかもしれません。
こうして、職場以外のコミュニティで積極的に活動したり、時にはお金を稼ぐこともできるということは、自分にとってもストレス解消にもなるでしょうし、本業以外でも何か貢献している自信にもなります。
パラレルキャリアを始める理由
「果たしてこのままでよいのだろうか・・・」
会社で仕事をしているとき、何度も考えたことでした。会社で運良くやりがいをもてる仕事に出会った人はよいのですが、そうでなければ、組織の歯車の一部として働くことに漫然とした不安がよぎるかもしれません。
セーフティネットで不安を解消
「自分の好きなことをして働こう」と、思い切って起業する人もいますが、自信の無さから、なかなかそうすることもできない人も多いと思います。
自分の居場所は、、、生活するためのお金は、、、と考えてしまうと、結局は、今日と同じ1日を明日も繰り返すことになってしまいます。
私は、起業するか、会社員か、の2択でなくてもいいと思っています。
もし、会社員であるならば、会社員のキャリアを保ったまま、もうひとつのキャリアを育てていく。
そして、もうひとつのキャリアが十分に育ったところで、シフトするという手もあるし、会社員との相乗効果を狙って、会社員も続けていく、という手もあると思います。
また、今の不確実なご時世では、勤めている会社が、いつなくなってしまうかもわかりません。そこで、もうひとつのキャリアを育てていれば、いざというときにセーフティーネットになってくれる可能性もあるわけです。
自分の好きなことで生きていく準備
それに、会社がなくなってしまえば、ある意味、育ててきたキャリアで、覚悟を決めて生活していく、ということにもなり、結果として自分の好きなことで生きていくこともできるかもしれません。
私は、会社という不自由な空間の中で、「このまま定年までここで働くことに納得するだろうか」と考えて、何か他の自分になるべくいろいろと行動してきましたが、やっぱり、最後は覚悟が決まらず、ずるずるとここまで来てしまいました。
でも、これはこれで、ひとつのライフスタイルなのかもしれない、と考えるようになりました。
会社員だけど、違う肩書きの自分も持っている。パラレルキャリアというライフスタイルは、新しい概念ではありません。
不確実でありながらも、自由に自分のしたいことができる空間が用意されていることも事実です。この環境を生かさないと、もったいないとも考えました。そして、私も含めて、一人ひとりが、かけがえのない個性を持ち、その人にしかない特性を生かして、役に立っていくことが、自分の幸せにもつながると思っています。
パラレルキャリアの効果
そのようなパラレルキャリアの大きな効果は、次のふたつだと思っています。
それは「自分のセーフティネット作り」そして、「人生を二度生きる」ということです。
いざという時のセーフティネットになる
最近は、「会社に入れば一生安泰」ということはなくなってきました。転職についても、自分に会社員として飛び抜けた能力がなければ、年収はランクダウンしていくのが一般的となってしまいました。
新卒での就職活動でも厳しいのに、ましてや転職活動といったら、かなりのパワーがいるものです。仕事が決まらないというリスクをとることに臆病になり、お金を稼ぐために、今の職場で頑張らざるを得ない、という人も多いでしょう。そうすると、ますます会社に依存することになってしまいます。
それこそ、会社と自分の人生が一心同体のようになってしまい、いざというときに、途方に暮れてしまうリスクがかえって高まってしまうわけです。
そこで、今の職場で働きながら、もう一つのキャリアをスタートさせる、というリスクヘッジが有効となります。パラレルキャリアの芽を育てるのです。もちろん、もうひとつのキャリアは、すぐに稼げるようなものにはならないかもしれません。
でも、もし好きなことをもうひとつのキャリアとして育て始めたのなら、自分でセーフティネットを作り始めたことになるのです。
今、失業してしまうと、第一のセーフティネットとしては失業保険がありますが、これは数ヶ月の期間限定のセーフティネットです。それが破れたら、あとは貯金の残高と比例するように、ゆっくりと沈んでしまいます。もちろん、失業という状態は崖っぷちのような状態なので、必死で這い上がろうとした結果、転職などがうまくいくことは多いです。
しかし、私をはじめ、とても心配性な人は、「本当に路頭に迷ったらどうしよう・・・」と気が気でない状態になるかもしれません。
でも、何かしら、職場で働いていた時代に、もう一つのキャリアを育てていたならば、当面は好きな事で生活できる可能性もあるわけです。ピンチがチャンスになるかもしれない。
パラレルキャリアは、そんな期待にもこたえてくれるかもしれません。
一度しかない人生を2度生きることができる
何か、ひとつのものに打ち込む、と心に決めて一筋に頑張っている人は素敵だな、と思います。自分の資源をすべて集中するわけですが、道が一本でも濃く生きることができます。
でも、もし会社に勤めていて、いまいち物足りなさを感じているなら、それは、まさに「物足りない」のですから、まだ余力があるわけです。自分の中にある空洞部分に、もう一つの人生のレールを敷くことは可能だと思うのです。今の会社を勤めあげるか、独立するか、という視点ではなく、会社に勤めながら、もう一つのレールを自分で作っていく。
そして、会社を定年退職して、第2の人生を歩む、のではなく、第2の人生をパラレルに生きる。
人生を足し算の直線で考えるのではなく、複線で考える。
いま、生きているのは真実だけど、会社定年後に生きているかどうかは、わかりません。第2の人生を経験できるかどうかもわからないのです。
そうした不確定な将来に、なんとなく第2の人生の楽しみをとっておくのではなく、「いま」第2の人生を楽しみ始める。そんなパラレル思考があっていいと思うのです。パラレルキャリアの第一歩としては、「第2の人生は“今”から」ということでしょうか。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
たとえ、会社員であっても、それ一本にささげるだけが人生ではない、ということがわかると思います。
もちろん、本業が充実しているのであれば、その本業にエネルギーを注いでいけばよいのです。
しかし、本業に満足していない人にとっては、パラレルキャリアが新しい生活スタイルとなりますし、とりあえず会社員を続ける、という人にとっても、未来に対する救いになる可能性があります。
手遅れになる前に「もう一つのキャラクター」をつくってみましょう!