会社のエリート集団である企画部。その謎に包まれた部署の仕事とは?
比較的大きな会社の組織には企画部という名の部署があります。
経営企画部、事業企画部、営業企画部、商品企画部など会社によって呼び名はいろいろですが、ここでいう企画部は経営企画部と呼ばれる部類です。
経営計画の策定や実施状況の確認、経営会議の運営、職制・職務、組織の見直し、経営課題に関する解決策の立案などが主な仕事です。
営業企画部や商品企画部などの部署も、営業を通じて、または商品を通じて、経営を補佐をするという点では同じです。それらもひっくるめて企画部というくくりで考えていただいてよいと思います。
企画部って、その名称からしてよく分からないという評価をされる部署ですが、実際のところはどうなのでしょうか。そして、そもそも、そんなわけのわからない仕事をしている企画部って、必要なのでしょうか。
企画部ってどんな仕事をしているの?
企画部とか経営企画部とか聞くと、何かを企画する楽しそうな部署というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。
会社の方針を決める仕事
企画部は、会社のためにあらゆる情報を集めて「これから会社では、このようなことをしていくよ!」という計画を作ることと、その計画がうまくいっているかどうかをチェックすることが主な仕事です。
要するに、会社の中の言い出しっぺ、ということで、何かを考えて会社の従業員に「こうした計画を考えたからやってね」と言う役目です。
会社の計画を作るにあたっては、
- どうしたら売上が上がるだろうか
- 会社の出費を抑える方法は何だろうか
- 社員のモチベーションを上げられるだろうか
…ということを考えて計画に落とし込んでいくわけです。
つまり会社の方向性を決めていく役目を負っている、ということですね。
社長の近くで仕事ができるところ
会社の方針を作って全体に伝える部署なので、大抵、会社の偉い人(社長とか役員)の近い位置に仕事机を構えて、偉い人からの要望や指示を受けるわけです。
「こうしたことを従業員にやってもらう仕組みを考えてほしい」とか「新商品を開発したい。各部門から優秀な人を集めてプロジェクトチームを作ってくれ」とか指令が飛ぶこともあります。
また、企画部は、そうした社長や役員の要望を実行するだけでなく、「現在、会社内で人材が不足しているので、多少お金がかかってもシステムを導入して効率化を図るべきだ思います」などと、提案することもあります。
企画部は、社長や役員とコミュニケーションする機会が多い部門です。
そのようなわけで、会社の機密事項に接する機会も必然的に多くなります。
こうした部署であるからこそ、会社内ではエリート部門であるとか出世コースであるなどと言われることも多いのです。
では、本当の実態はどうなんでしょうか。
そもそも会社に企画部って必要なのか
企画部はこそこそ動いている印象があるためか、あまり仕事の内容を知っている人は多くはありません。でも、そうしたこそこそ仕事をする部署って必要なのでしょうか。
企画部という部署があるところは大きな会社だけ
冒頭で、「比較的大きな会社には企画部がある」と書きましたが、逆に言うと、小さな会社には企画部という部署はない、ということになります。
企画部がなくても、会社が進むべき方向性や今年1年間の売上目標などを立てなくてはならないので、どこかの部署がやる必要があります。小さな会社の企画部に相当する部門は、社長だったり専務や常務などの役員だったりするわけです。総務部長や営業部長がその役目を担うこともあります。
社長の仕事を分けてもらっているところが企画部
本来は、会社のトップ層の人が考えることを「企画部」という部門にやらせている、ということですね。
大きな会社になると社長や役員は常に決断しなければいけないことがたくさんあるので、「会社の将来を考えること」については企画部という部門に依頼しているわけです。
そのように考えると、企画部って、社長などの上層部の機能を分けてもらっている部署でもあります。社長や役員がいれば、本来はいらないと言えばいらないのですよ。
実際に小さな会社は企画部なんて部門はないですし、「計画を考えている暇があったら、手を動かせ、足を動かせ!」といった感じになると思います。
だから、社長の参謀(サポート役)として「いやぁ、企画部のみんないるから、わしも助かるよ」という具合に経営層に感じてもらえるような仕事をしていなければ、ただの金食い虫になってしまいます。
ダメな企画部とは
経理部や総務部は、法令的にもやらなければならない仕事があってサボりようがありません。
経理部ならば、決算書類を作ったり、税金を納めたりと法令上、やらざるを得ない仕事に満ち溢れています。総務部においても、給与計算や従業員の健康管理など、会社に義務付けられている仕事がたくさんあります。
法令上で義務付けられているような仕事はほとんどない
それでは、企画部はどうでしょうか。
企画部には法令で決められているような仕事が割り振られることは少ないです。そのため本来なくてもよい部署ということにもなるわけです。
自ら「会社をより良い方向に導こう」と考えない限り、何もしなくても会社全体はまわってしまう、ということになります。
そのようなポジションであるため、経理部や総務部が法令で決められた業務をきちんとやって、営業部が仕事を取ってきて売上を伸ばしてくれさえすれば、特に企画部はやることがないのです。
仕事をしなければ仕事がない
やることがないと、企画部は省エネモードに入ってしまい、どんどん仕事をやらなくなる、という悪循環に陥ってしまいます。
企画部に所属している社員は楽なのでよいですが、会社の売り上げに貢献せずに、高い人件費がかかっているという状況を踏まえると会社的にもよい状態とは言えません。
会社にとって、現状維持を望むのであれば、企画部という部門はいらないということになります。そこで仕事をしている従業員もモチベーションが上がらないわけですから、置いておいても仕方がない、ということになるでしょう。
うまくまわっている企画部とは
会社が理想とするビジョン(夢)があって、それに向かって頑張っていくとき、どうしたら、そのビジョン(夢)を早期に実現できるか、と考えている会社には、企画部という部門が必要かもしれません。
経営層からガンガンくる指示にくらいついているところ
会社の経営層も、とにかく企画部門に対して言いたいことがたくさんあります。社長自ら「会社をこうしたい」という希望があるので、「どうしたら社長の思いを実現できるのか」を考えるところが企画部だからです。
企画部門も経営層からの要請に応えるために、高い数値目標と、それを達成するための手段を色々考えて、どうしたら、会社の従業員がこの目標に向かって努力してくれるかを日夜考えるようになるでしょう。
会社に変化を望んでいるところ
会社は時代の流れを読みながら常に変わっていくところです。なので、「私はこんな会社になったらいいと思う」という従業員の考えを経営層も非常に気にしています。
前向きな会社は企画部が元気です。逆に、現状維持や失速している会社の企画部は、堕落していく一方です。
元気な企画部がある会社は、間違えなく、今後の成長が望めると思います。
まとめ
会社に入って、社長や役員などの経営層に近い部署で仕事をしたいと考えている人は企画部は最適だと思います。
経営層の考えを具体的に形にしていくのは、まさにアイデアや工夫が必要なことが多いことも事実です。
この辺が「企画」とされるところですし、会社内に広く影響のある事柄を発信していく部署なので、エリートが在籍するところ、と世に言われる所以です。
ただ、企画部は大きな会社にしかありませんし、経営陣のそばにいつも控えている部署であるため、周囲からの信頼がなくてはなりません。
会社には、「企画部という部門もあるのだ」「自主的に仕事を見つけていかないと存在意義がない部署なのだ」ということを知っていると、会社に入ってからのライフプランの参考にもなると思います。
会社では様々な人が仕事を分担しています。
企画部は「会社が何をしていくのか考える部署」ということなので、かっこいいイメージがありますが、なくても別に困らない、という部署でもあります。その辺が「企画部って何をしている部署なのかわからない」と言われるゆえんなのでしょう。
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